◆はじめに
前回までの「セキュリティ強化編」に続いて、Rocky Linux 9 サーバ構築手順次のステップは、「メール転送設定編」について設定を行います。

この設定により、サーバで発生したシステムメールやroot宛のメールを外部メール(Gmail)に転送することができ、サーバの状態監視やトラブルシューティングに役立ちます。
◆環境情報
当ブログサイトを運用しているサーバは、「KAGOYA JAPAN」で提供されている「KAGOYA CLOUD VPS」を利用しています。
◆メール転送設定
root宛のメールを外部メール(Gmail)に転送されるように設定します。
- OS : Rocky Linux 9
- メールサーバ : Postfix
- 転送先 : Gmail
・Gmail設定
アプリパスワードの作成
Gmailでアプリパスワードを作成します。
通常のGoogleアカウントのパスワードではなく、アプリ専用のパスワードが必要です。
- ブラウザでGoogleアカウントにログイン
- 右上のプロフィールアイコンから「Googleアカウントを管理」を選択
- 左側メニューから「セキュリティ」→「2段階認証プロセス」→「アプリパスワード」を選択
※「アプリパスワード」が表示されない場合、直接「https://myaccount.google.com/apppasswords」にアクセスする - 「アプリ名」に任意の名前を入力し、「作成」を選択
- アプリパスワードが表示されるのでテキストなどにコピペしておく
注意点:
・Postfix設定
インストール
Postfixメールサーバをインストールします。
# dnf install -y postfix
'~ 中略 ~'
Installed:
postfix-2:3.5.9-24.el9.x86_64
Complete!
SASL認証モジュールインストール
Gmailとの認証に必要なSASLプレーンモジュールをインストールします。
# dnf install -y cyrus-sasl-plain
'~ 中略 ~'
Installed:
cyrus-sasl-plain-2.1.27-21.el9.x86_64
Complete!
設定ファイルの編集
Postfixの設定ファイルを編集し、Gmail SMTPサーバ経由でメールを送信するよう設定します。
# vi /etc/postfix/main.cf
'~ 抜粋 ~'
relayhost = [smtp.gmail.com]:587
smtp_use_tls = yes
smtp_sasl_auth_enable = yes
smtp_sasl_password_maps = hash:/etc/postfix/sasl_passwd
smtp_sasl_security_options = noanonymous
smtp_sasl_mechanism_filter = plain
各設定項目の説明:
relayhost
: Gmailのメールサーバとポート587を指定smtp_use_tls
: TLS暗号化を有効化smtp_sasl_auth_enable
: SASL認証を有効化smtp_sasl_password_maps
: 認証情報ファイルの場所を指定smtp_sasl_security_options
: 匿名認証を無効化smtp_sasl_mechanism_filter
: PLAIN認証メカニズムを使用
Gmail認証情報ファイル作成
Gmail認証情報を記載したファイルを作成します。
# vi /etc/postfix/sasl_passwd
[smtp.gmail.com]:587 my_gmail@gmail.com:my_apppass
設定内容:
my_gmail@gmail.com
: 実際のGmailアドレスに変更my_apppass
: 先ほど作成したアプリパスワードに変更
ファイルのパーミッション変更及びハッシュデータベース作成
認証ファイルのセキュリティを強化し、Postfixが読み込めるハッシュデータベースを作成します。
# chmod 600 /etc/postfix/sasl_passwd
# postmap /etc/postfix/sasl_passwd
・rootメール転送設定
エイリアスファイルの編集
システムのrootユーザ宛メールをGmailに転送するよう設定します。
# vi /etc/aliases
'~ 抜粋 ~'
root: my_gmail@gmail.com
my_gmail@gmail.com
を実際の転送先Gmailアドレスに変更してください。
エイリアスデータベース更新
エイリアス設定を反映させるため、データベースを更新します。
# newaliases
・サービス起動
Postfixサービスを起動し、自動起動を有効にします。
# systemctl start postfix
# systemctl enable postfix
Created symlink /etc/systemd/system/multi-user.target.wants/postfix.service → /usr/lib/systemd/system/postfix.service.
・動作確認
テストメール送信
実際にメールを送信して転送設定が正しく動作するかテストします。
# echo "Test message from Rocky Linux server" | s-nail -s "Test Subject" root
受信確認
Gmailで受信していることを確認します。
・トラブルシューティング
メールが受信していない場合は、メールログを確認して問題を特定します。
# tail -f /var/log/maillog
よくあるエラーと対処法:
- 認証エラー : アプリパスワードが正しく設定されているか確認
- TLSエラー : ファイアウォールでポート587が開放されているか確認
- DNS解決エラー : インターネット接続とDNS設定を確認
◆まとめ
本記事では、Rocky Linux 9サーバでのメール転送設定について説明しました。
この設定により、システムからの重要な通知メールを確実に受信できるようになります。
注意事項:
◆次のステップ
次回は「LEMP(Linux、Nginx、MariaDB、PHP)構築編」についての手順を実施します。
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